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『東日本大震災警察官救援記録 あなたへ。』を読んで




震災の話を聞くと、そこにたくさん詰まったひとりひとりの人生の重みに、その思いにいつも心を動かされ、多くの場合たくさん泣き、そのあと自分が生きていることや自分の周りの状態に、今までよりもまっさらな感覚で向き合っていけるような心持ちになる。

誤解を恐れずにいうのなら、バックパッカーで2、3ヶ月1人旅に行って帰ってきたとき、人間として、生きていくなかで大切な日々のひとつひとつを大切だとおもう感情がわき上がってくるのに似ている。


日本にいると忙しい。色んな仕事や付き合いや、手続き、支払い、イベント。この資本主義社会でそつなく、損せず、より合理的に生きるための様々な工夫とシステムに否応なく巻き込まれて生きている。


そういうのが全部0になる。
もちろん、人も街もいなくなって、持ち物も全部なくなる、という計り知れない喪失感や絶望感は私には想像できない。想像できるとか理解できるといったら、あまりにもおこがましい。でも、「あなたへ。」のような本を読んで、過ぎ去ったたくさんの人の思いや人生にひとつひとつ心を寄せるなかで、人の痛みや喜びや、這い上がる力や這い上がれなかった気持ちや、無理矢理鼓舞した心や抑圧した悲しみや、色んなものへの想像力をのばしていくなかで、ちょっとでも誰かに寄り添える人間に、ちょっとでも誰かの役に立つ人間になりたいと心から思う。





テレビには写らなかった、そして私が震災後半年以上たって現地入りしたときにはもう見ることのなかった震災直後、救助活動や遺体と言う命のやり取りに関わった警察官の方達の手記。行動やことばのひとつひとつがあまりにもリアリティに溢れていた。


最初の半分を読んだ時は、10代のときにこれを読んでいたら、私もきっと警察官になりたいと思っただろう、と思った。直接的に人を助け、誰かに手を差し伸べることができるという仕事は、本当に尊い。その尊い仕事の末席に、自分も加わりたいと思ったし、こうやって直接的に人の役に立つような仕事こそ自分がすべきことなんじゃないのか?なんて、震災直後からずっと感じていた今の自分への疑問を何度も反芻した。でも後半を読み進めていくと、こんな極限状態のなかで誰かのためになることを一生懸命する、ということが、すごく尊いことであると同時に、ものすごくしんどく、そして迷いやためらいや無力感を持って活動していることをひしひしと感じる。警察官への賛美や安易な憧れじゃなく、その迷いや葛藤こそを理解することが大事なんだと思った。
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