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『LOST』に嵌っちゃった訳。LOST鑑賞記 (1)



少し前の事になりますが、アメリカのテレビドラマ『LOST』に今更ながら、ド嵌りしました。
いくつかの項目に分けながら、LOSTの魅力と私が嵌った訳について記しておきたいと思います。


シェアできない
この物語の面白さと複雑さは、登場人物達が自分たちに起こった出来事や思いをなかなかシェアできない、ということにつきる。

島では同時多発的に様々な問題が勃発したり新たな発見があるのだけど、登場人物たちは時にそれを自分1人だけの胸の内に秘めて、みんなとシェアしようとしない。シェアしないのは、島で起こったことが、自分のパーソナルな問題や贖罪意識と絡んでいたり、今目の前にいる相手を信頼できなかったり、距離を測りかねていたりするから。日本は目と目で通じ合う文化、反対にアメリカでは全部言葉にして伝えることが大事なんて、よく英語を習うときに聞いた覚えがある人も多いと思うけれど、英語だったらなんでも言葉に出して説明するかっていうとそうじゃない。

とにかく常に不足する「説明」に、さっき起こったこと、今考えていること、ちゃんとシェアすればいいのに!と思いそうなものだけど、シェアできない理由もちゃんと観客が納得できるように作られているのが圧巻なのだ。入念に作り込まれた登場人物の過去やキャラクターが、島での行動にすべて反映されている。これも多くの批評サイトで言われていることとは思うが、登場人物同士の過去のつながりもとてもうまいこと作られている。


とにかく不幸が多すぎる現世と困った登場人物たち
飛行機が墜ちてこのドラマが始まる前の人生が、とにかく不幸で人生うまく行っていない。それぞれ住む場所も職業も階層も異なるのだけど、ほとんどすべての登場人物に共通しているのが、親子間関係が上手く行っていない、と言うこと。親子の関係も、LOSTの重要なテーマだ。

彼らの人生に大きな負の影響を与えているのが親との関係だが、親が直接的に悪影響を及ぼしているケースだけでなく、社会的に成功した親でも、血がつながっていない親でも、どこにいるか分からない親でも、そしてもう既に死んでしまった親ですらも、子どもにものすごく大きな影響を及ぼしていることが分かる。

最近、田房永子さんという人の書いた『母がしんどい』という漫画を読んで、親との関係やいつかは親になるうる自分の考え方を考え直すきっかけになった。この本はタイトル通り、可愛い絵とは裏腹にものすごく身につまされるし「しんどい」コミックなのだが、多くの人に読んでもらいたい名著だ。

最近、保育所が足りない! というニュースが話題になった。こういう話題が出てくるといつも湧いてくるのが、「じゃあ共働きをやめればいい」「専業主婦になればいい」という意見だ。その理由としては、「赤ちゃんには絶対に母親が必要」とか、「子どもは3歳くらいまではお母さんが育てるもの」などなど、あたかも愛に溢れた正論のような理由が挙げられることが多い。母子の愛は、とかく美化され、絶対視されがちな傾向にある。

思想家の鶴見俊輔さんの著書のなかで、「母親というのは、子どもにとって内心の先住民族であり、抑圧者」(鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二『戦争が遺したもの』)であると語られている部分がある。
主人公の作者・永子のお母さんは、永子にとっては、まさに「抑圧者」そのものだ。お母さんは「KY」で「好きなったら一直線」な人であり、物語の最後で永子ちゃんが気づくように、お母さん自身の味方をする人がいなかった人だ。だからこそ、ひとり娘である永子からの認証を求め、永子が独り立ちすることも素直に応援できず、いつまでも自分の思い描く母娘の関係の中でのみ永子を愛し、保護し、母親としての自分を認めさせようとする。


主人公である永子は、いつも自分自身に問いかけている。「私は、お母さんのこと、好きなんだろうか、嫌いなんだろうか?」でもそれは、最後まで答えの出せない問いであり、お母さんという存在の影は、永子の人生につきまとい続ける。永子にとって初めて好きになった人、タロウくんまで、お母さんそっくりのひと。あれほどいやだと思っていた環境から抜け出したのに、気がつけばお母さんと同じようなことを言う人と付き合っている…それに気付いたときの、あの絶望と言ったら! そして、永子自身が母親になろうとするときも、「お母さんみたいな親に、絶対なりたくない!!」ともだえ苦しむ。やっぱりお母さんの呪縛がとけない。


世の中には親子の美談があまりに溢れているが、母からの愛は絶対的な真理や正義なわけじゃない。それはもしかしたら確かに愛には違いないのかも知れないけれど、その愛は時に家族や子どもを抑圧したり、苦しめたりして、愛とは伝わらないこともある。母子の関係にたったひとつの絶対的真理の関係性なんてないのだ。


それでも、この本を読んでいると、親子だから絶対仲良しなんてこともないし、しんどいときには距離を置いたっていいんだ、ということを子ども自身が理解して認めるのは、実はとっても大変な作業なのだ、ということをひしひしと感じた。「お母さんが嫌い」とただ言い切れないからこそ、しんどいし、つらい。

主人公であり、筆者である永子が最後に言っていることばは、「自分の味方でいよう」。その言葉を、母と子の関係に悩んでいる人、みんなに捧げたい。


Yahoo! JAPANニュース
あなただけじゃない! 毒親の“愛”に苦しむ子どもたち(ブックレビュー)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130403-00001926-davinci-ent

元記事はこちら。
ダヴィンチ電子ナビ
http://ddnavi.com/review/131559/




自分を信じることができない人や自己評価が低い人特有の恋愛模様
劇の中ではジャックとソーヤーの間で揺れ動くケイト(実生活ではチャーリー(ドミニク・モナハン、ロード・オブ・ザ・リングにもホビット役で出ていた)と付き合って分かれたらしい)。当初はジャックといい感じになったと思ったら、そのあとソーヤーと一緒に暮らすジュリエット(ドラマの中で3回男を変えている)。いくらなんでも主役級のこの四角関係はしんどい。LOSTの世界では島での恋愛も、特に焦点を絞って描かれるこはないけれど、いつのまにか進展し、そしていつの間にか壊れ、いつの間にか次の人に移っている。安定的な関係のカップルなどこの世に存在しないとは思うけれど、とにかく恋愛感情に関しては移ろいやすいのだ。その中で過剰に演歌のような恋愛をする韓国人カップルは、その儒教的関係の描き方も興味深かった(勿論、そこでは韓国社会がやたらとオリエンタライズされて描かれている)。

特に、ドラマを見ていると、好きな俳優さんや登場人物ができることが多いだろう。私は女なので、男性登場人物にかっこいい!と思うことがドラマの魅力だったりそれを見続ける一つのモチベーションになったりするのだけど、LOSTの場合、出てくる男達が誰1人こいつ超かっこいい!と思える人がいない(それなのに面白い)。たとえば、外見だけでみれば、ジャックはきっとモテ線の俳優さんであり登場人物なのだろうが、私は自分の中で合理的で固い考えの中にしかとどまれないジャックに対し、日常生活のなかでよく闘っている相手の典型を見て、いらいらすることが多かった。ソーヤー(モデルのジョシュ・ホロウェイ)も、適当であまりに自分の保身にばかり感けすぎてて、36にもなって自分が作った子どものことも受け入れられずに幼い頃の復讐に燃え、賭け事でもスポーツでも子どもっぽいくらい負けず嫌い・・・など、もし現実にいたら一緒にいる男としては最悪の部類に入る。


LOSTが(おそらく意識的に)見せる多様性
さすがアメリカのドラマだなあ、と思うのは、おそらくかなり意識的に、登場人物の民族や肌の色をバランスよく揃えていること。同じアメリカから来た、という設定でも、ラテン系、アジア系、ヨーロッパ系と様々な人がいて、オーストラリア、イギリス出身など、英語も様々な発音や話法の英語を楽しむことができる。それぞれの出身階層もかなり異なっているため、同じ英語という言語を話していても、かなり多様性のある英語だ。出身地による発音やアクセントの違いだけでなく、語彙量や話法も人物によって大幅に異なる。これもLOSTの魅力の一つだ(詳しくは次ぎのエントリー、「『LOST』の英語」を参照)。

主人公級4人の四角関係に加えて、当然男と女がいれば島での恋愛もたくさん生まれているのだが、思い出してみれば、ゲイの人が1人も出てこなかったな。その辺はヘテロなドラマだった。回を追うごとに変化していく人間関係の中でも、特に主役級のジャック、ソーヤー、ジョン・ロック、ベン、サイードなど男達の関係の揺れ動きがかなり劇的なので、何人かの登場人物が安定的に「友情」のかけらを魅せてくれる場面がこのドラマのよい緩急になっていると思った(具体的にはチャーリーとハーリー、そしてだんだんとソーヤー、ジンがその安定的ほっこりの場面を作り出してくれる)。

前にも述べたが、LOSTは島でのサバイバル生活をテーマにしたSF/サスペンスなので、いつもドキドキする展開があり、謎があり、登場人物の過去シーンもかなりシリアスな場面が多い。それにとてもよい緩急をもたらしているのが、面白い会話をする登場人物が適宜いたこと。ハーリーとチャーリー、そしてソーヤーはLOSTには絶対に欠かせないキャラクターだと思う。個人的にはチャーリーがクレアの息子、アーロンに最初につけたあだ名「カブあたま(turnip head)」というのが可愛くて好き。ソーヤーの付ける英語のあだ名も面白い。ほかにも、ジョン・ロック(これも最初はウケた)の別名がジェレミー・ベンサム(!)など、マニアックだけど嵌ると面白いネタも仕込まれている。台詞で面白いのは、英語話者特有のシニカルな笑い。ハーリーのは性格から来るストレートな面白さだけど、会話で魅せるの個人的ベストは、ソーヤー、マイルズ、チャーリーだと思っている。

言葉に関しては、韓国語話者が二人出てくるのだけど、韓国出身のキム・ユンジンが英語を話せるキャラ、韓国系アメリカ人のダニエル・デ・キムが英語を話せないキャラになっていて、第5シーズンくらいからダニエルの英語が異常なくらい上達する。不自然なくらい英語っぽい文章の構成をするので、少なくともネイティブ韓国語話者が英語を話せるようになる過程で、EFL話者はそんな上達の仕方はしないよ!と思わず口を挟みたくなった。

他にも、何人か途中で韓国語話者が出てくるのだが、彼らの話す韓国語も、韓国語をKFL (Korean as a foreign language)として学んでいるにしては、語彙レベルと話し方&発音のアンバランスが際立っていた。アラビア語含めたくさんでてくる外国語の表現については私の知識がなくて分からないのだけど、英語以外の言葉や外国語話者の英語上達に関してはちょっと演出が甘いなあと思ってしまった。


まとめ
海外ドラマものでは、特に女子には『デスパレートな妻たち』(これはLOSTと同じABC製作)や『セックス・アンド・ザ・シティ』が人気だけど、個人的にはSATCよりもLOSTの方が世界観が大きくて面白かった。ちなみに私は最終回に抱いた謎を解くために、最初から第3シリーズまでをもう一度見直したほどの嵌り具合です。ネタバレになるので謎については言いませんが、こう解釈すればすべての説明がつくという結論を自分の中で出しました。そしてものすごく宗教的(物語ではキリスト教的価値観を描いているけれど)、仏教の

LOSTを見るなら、レンタルするよりHuluがオススメ。一ヶ月980円で、シーズン6まで118エピソード見れるよ。

Hulu

10 best moments of LOST

私のベストモーメントは、デズモンドがペニーと写真を撮ったあと、いきなり別れようとする場面(マニアック)。私はなんだかんだいって登場人物の中で一番印象に残っているのはデズモンドかもしれない。物語のキーパーソンであり、癖のある英語を話す。 男の人と話す時は必ず語尾に「brother」ってつけるのも好き。

一番印象に残った役者さんは、ベンジャミン・ライナス(ベン)役のマイケル・エマーソン。歩き方からしゃべり方まで、切れるけれどちょっと変わったアメリカ人の特徴がよく出ていると思う。他のドラマや映画の出演も是非見てみたい。

ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
発売日:2011-01-19





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