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かぞくのくに + アルゴ + ゼロ・ダーク・サーティ & more

かぞくのくに



新宿テアトルでやっている『かぞくのくに』の再上映を見に行ってきた。北朝鮮から一時帰国する兄を迎える在日朝鮮人のかぞくを描いたドキュメンタリータッチの映画。かぞくのなかでも、イデオロギーや道理に振り回されてその犠牲になる父や息子と、その中で最善策を見つけようともがく母と娘。多くを語ることのできない兄の沈黙が重く、100分は実際よりも長く感じた。

井浦新は捉えにくい役をやるのがうまいと思う。存在感があるし、見ていてどういう人なんだろうと気にさせるオーラがある。主役が彼でなければ全く雰囲気の異なった映画になっていただろう。気の強そうな妹役の安藤サクラが泣く場面もとても良かった。

ネタバレになるので言わないが、最後にお母さん役の宮崎美子がやった行動がこの事実に基づく物語の闇の部分を象徴していると思った。時間と気持ちの積み重なったものを、無駄かもしれない行為に必死で捧げる姿は、母親の無償の愛だと思った。

どの社会であれ国であれ、何も考えずに従うことを強いられる場所は、「この世の果て」だ。
そうやって人間の自由を奪ってまで達成すべき理想郷などどこにもないと思う。


アルゴ



アカデミー作品賞を取る前日に見に行った。
脱出劇の中心となる6人のアメリカ人の人となりを、もう少し描けてもいいのではないかと思った。人質救出側の苦悩なを描くのがこの映画の主旨なのかもしれないが、結構な長い時間彼らを映しているのに、人質6人のキャラクターもそれほどはっきりせず、同じような演出しかしていないのは残念に思った。ベン・アフレックの仕事はすごいなあと思いつつも、最後までベン・アフレック主役の映画だなあと。

最初の10分くらいのアメリカ大使館を占領させれるまでの様子はなか中の見物だ。当時のイランの殺気立った町中やアメリカ人の目から見るイランの人々が描かれていて興味深い。

基本的には社会派映画だと思うのだけど、コメディタッチで面白かったのは、ハリウッドで偽映画を画策しているときに出てくる二人。彼らとのやりとりがこのシリアスで緊張感のある映画の中でいい味わいを出していた。



ゼロ・ダーク・サーティ



この監督の前作にも劣らない問題作、緊張感のある映画。主人公が女の人の分、前作のようなごりごりの緊張感ではなかったが、精神的に追いつめられていく様子を見ていてなんだか感情移入してしまった。シチュエーションは全く異なるが、私が博士論文を書いているときと似ている。すべてが終わったあとの解放も、そのあと流した涙も、あれは成功や完遂のうれし涙なんかじゃなく、自分のやっていることに100%の自信も確信もないなかで、とにかく無我夢中で突き進み、突如現れた終着に放心した時の涙だ、と思った。

拷問の様子や掃討作戦を含め、アメリカが推敲している「テロとの闘い」やテロを起こす側が持つ「戦う信念(聖戦)」の意味についても考えさせられた。映画の途中で「ビンラディンは本当にいると思う?」という台詞があるのだが、この映画に出てくるのは、テロや裏切りへの怒りや焦りだ。最後の最後まで「敵」はでてこないし、見えない。もっといえば、殺して死に顔を確認するまで、その人が敵なのかどうかの確証がないまま闘っている。21世紀の「戦争」は、見えない敵と闘い続けることなんだということを思い出した。


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ご報告

アジアの高等教育ガバナンス (アジア地域統合講座―専門研究シリーズ)アジアの高等教育ガバナンス (アジア地域統合講座―専門研究シリーズ)

一章書かせて頂いた本がやっと発売になりました。学術書なので値段は高めですが、面白い論考がたくさんあるので、東アジア地域の高等教育研究や国際化政策に興味のある人は是非。

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