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軽蔑+麦の穂をゆらす風


恋愛を中心に扱った映画が一般から受ける評価は、その恋愛にリアリティを感じることができるかだと思う。今回すごいと思ったのは、高良健吾に感じたリアリティだ。例えば最初の10分以内に、ヒロインの真知子にちゃんと誘って?と言われてしまうような欲望と行動の境目のなさ。田舎の甘やかされた坊ちゃんという背景や両親との関係の中で生まれて来ただろう彼の性格や、彼を取り巻く田舎の「悪」友たちとの関係。最後に大森さんが「何故お前だけ愛されるんだ?」と聞いたけれど、何故高良健吾の役に惹かれるか、それを分かった人にだけ、この映画自体の魅力が理解されると思う。

圧倒的に嵌り役と感じた高良健吾に対して、ヒロイン役の鈴木杏ちゃんには最初どうしても違和感があって、元々は違う女優さんに配役がされていたんじゃないかと思っていた。今までの役柄からも考えても女優鈴木杏は、もっと天真爛漫だったり、おとぼけだったり、純情で明るく振る舞う中に少し影を隠し持つようなイメージだったから。あまりシリアスな役やセクシーな役は似合わないと思ったし、正直最後まで、実際に彼女みたいなダンサーがいるとは思えなかった。身体付きや、顔つきも役のイメージからは外れているのだ。

けれど観進めるうちに、彼女がいることでこのストーリーの持つ掬いようのない感じや典型的とも言える堕落の過程を、陳腐でそれっぽい映画表現から救いだしたんじゃないかなと思った。もしかしたらもともとこういう効果を期待して杏ちゃんにしたか、もしくは彼女になったことで結果的にストーリーに厚みをもたらせることになったんじゃないかとすら思った。むしろ、イメージも顔も身体も明らかに役にはあっていないのに、最後までなりきって魅せた鈴木杏はすごいと思った。

映画としては、いくつか冗長と思える長回しが気になった。最初の杏ちゃんのダンスシーン(彼女のダンサーとしての演技を観客が精査する役割になってしまっていると思う)や初めてのベッドシーン(バックからの撮り方が長く、もう少し丁寧に優しく撮ってほしかった)など、ちょっと気になる部分があって、おそらくこの映画を批判する人はこういう部分でつまんない!杏ちゃん似合わない!と思ってしまうのではないか。できれば2時間でおさめたほうが、興行的にもよかったと思う。また、最後の音楽も微妙だった。

それでも良かったのは、熊野というロケーションの圧倒的な美しさや撮影された場所のセットがみなよく作り込まれていて見応えがあったこと。熊野での素晴らしい自然と町並みの間に作り込まれた世界と、てかてかした光の中の雑然とした歌舞伎町とのコントラストは見事だった。

とにかく理由も分からないまま誰かを愛してしまうことに迷いがでたら、もう一度観たいと思う。







ケン・ローチ監督の映画はみんな文句なしに好きだったのだけど、ひとつだけおそらく一番有名なのに見逃していたのがこの映画。アイルランド紛争をテーマにした物語。大きなリスクをかけても、守りたいものってなんなんだろうってことを考えた。それは国家とかプライドとかではなく、今賭けているリスクそのものを守りたい、という矛盾にも似た行動の連鎖だった。
いわゆる二枚目と言うタイプではないのだけど、不思議な目の色をした主人公の演技がすてき。

この映画にも名前だけ一回でてくるけれど、アイルランド紛争といえばマイケル・コリンズ。
この映画ももう一度見たいな。

ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2000-04-21


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