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中国嫁日記+われ日本海の橋とならん+大学とは何か
井上 純一
エンターブレイン
発売日:2011-08-12


女が可愛い思われる、男に大事にされる素質のひとつに、前向きであることや、小さなことで素直に嬉しさを表現したり、(そして全力で)ドジなことをするっていうことがあると思う。男の人は、その様子を愛おしいと思うのだろう。

女のなかには、その「ちょっとの足りなさ」や「些細なことで幸せになる」を意識的に演出する人も決して少なくないとおもうのだけど、国際恋愛をしてると、否応無しにその「ちょっと足りない」部分が出てくる。言葉の不十分さ、文化的コンテクストへの相互理解の不足があって、そこで生じた齟齬が、好き同士だと「ちょっと足りない魅力・可愛さ」として変換されたりするのだ。

些細なことで幸せになれるのは、それを些細だと思うか、大きなことだと思うか、っていう差異があるから。
では何故「こいつ、些細なことで幸せになってるなー(ういやつめ)」って思うかというと、その人にとってはそれは既に存在して当たり前だったり、手に入れてしまったものだから。国際恋愛の場合、その違いは自分が生まれた社会的バックグラウンドから生まれて来たりする。そこには経済力の差異があり、文化的差異があり、政治的自由の差異があり、市民意識の差異がある。その差異を差異ではなく、優越や格差で捉えてしまう時、差別の問題が上昇してくるのだろう。

このマンガに出てくる月(ゆえ)さんは、なんて女として魅力的に描かれているか。
あくまでも男目線、というか井上さん目線で「魅力的」なので、人によっては日本人からみた「ちょっと足りなさ」などの点で「中国人嫁をバカにしている」と感じる人もいるのだろう。
(例えば、「中国嫁日記」の差別性が自覚できない奴は差別主義者!

誰がなんといおうと、井上さんが月さんをとても大事にしていて、愛している感じが紙面を通じて伝わってくるので、読後感は非常に良いし、月さんの言動を見ていても、きっと素敵な人なんだろうなと思う。
ただ私もすごく権力構造には敏感で、とにかく本人たちが幸せであればいいじゃない!という考え方にはどうしてもなじめない。何故この二人が惹かれ合ったのか、魅力的だと感じるのは何故なのかを深読みしようとしてしまう。そこに私は自分のきたなさを感じたりもする。一方で、このマンガを夫婦愛の物語の中に閉じ込めてしまうのは、やはりもったいないという気がする。

上記にあるような批判をしたり、「中国嫁」に対して中国の女の人に対するリスペクトが足りないと感じてしまう人がいるのならば、この漫画を槍玉にあげるより、そう思う自分の内面に向きあったほうがいいと思う。このマンガを読んでちょっとひっかかって感じることは、国際恋愛や国際交流をしている人に限らず、きっと多くの人が恋愛する上でぶつかる本質的な問題であると思うから。

女として、また中国人・韓国人・台湾人など、海外の男性との恋愛が多かった国際恋愛経験者として、いろいろと感じるところがあった。また時をおいてもう一度読み直してみたいマンガのひとつだった。


加藤 嘉一
ダイヤモンド社
発売日:2011-07-23


「インターネットがあり、英語さえできればもはや国家など関係がない。」
中国におけるインターネット利用者の数(5億人!)とそのメディアとしての重要性についての部分。
また加藤定義の「暇人」と彼らの分析をしている部分がとても面白かった。

何人かがアマゾンのレビューで書いているように、若干筆者の俺俺、という自我が箇所箇所で見えて来て、すこしざらざらする部分はある。ただ、それも若いからまっすぐすぎて、そのひたむきさとがつがつした感じの一方で、一人前の大人の男として発信していくというが全面に出てしまっていて、分かりやすい“貧困からの成功”などのサクセスストーリーを求めている人たちにとっては、彼の経験談はあまりに隙がなさすぎて気に入らないのだろう。私は割と素直に、中国の懐の中に入り込んだ人の意見として非常に面白く読んだ。フリーライターの「構成」の人が入ってくれているようで(つまり加藤本人がカタカタ文章をタイピングしたわけではないのだろう)、文章も非常に分かりやすくてすらすらと2時間くらいで読めた。



研究とも関連して興味あるテーマなので面白く読んだ。
ヨーロッパにおける大学の成り立ち(1章)から国民国家と大学の再生(2章)、舞台を日本にうつして帝国における大学(3章)、戦後日本の大学改革(4章)という今までの、最後の章では「それでも、大学が必要だ」とのタイトルで今後の大学のあり方に関する提言が書かれている。

今後の日本に置ける大学の形を考える時、既存の大学概念の中で中世の都市ネットワークを基盤にしたポスト中世的大学モデルが参考になるのではないかと提言している。その理由として、1、世界で多数の大学が国境を越えて都市間で密接に結びついていること、2、高等教育のアメリカ化の中で
学術言語としての英語の世界化がおきており、北東アジアなどの近隣諸国の学生と知的交流をすすめるのにも英語でのコミュニケーション能力が必須であり、それを単純な英語支配と捉えず共通言語以上の可能性を持ったものとして認識することが重要であること、3、今後人類が取り組むべき課題はすでに国民国家の枠組みを越えており、ナショナルな認識の地平を超えて地球史的視座から人類的課題に取り組む専門人材を社会に提供することが大学に求められていること、などを挙げている。(pp.240-243)

面白いのだが、取り立てて目新しいものではない。
それよりも、未来の完全なインターネット社会で大学が生き残ることができるのか、との懸念をぶっこんでたことには、その懸念は理解できるもの、もう少し大学がキャンパスをもち、人と人との直接的な交流が生まれることの意義を聞きたかったなあと思う。最近のキャンパスの国際化や、地域連携などの点についても触れてほしかった。そして、すべての大学教員がマイケル・サンデルのような「白熱」議論ができるわけじゃない、という部分には素直に笑ってしまった。確かに、日本であんな授業をする人は見たことがない。年配の大学教授には、彼とは正反対の、ただぼそぼそと自分の趣味趣向のような研究内容を話し続ける人が多かったし、授業をエンターテイメントとして捉えて、学生たちを巻き込んで考えさせよう、としている先生は早稲田でもあまりあわなかった。(もちろんいることはいたけれど、必ず単位を取らなければ行けない必修科目などにはとくにそういう自慰行為的授業をする先生が多かった。)

大学に関連することは自分の研究関心でもあるので、色々手広く読んでいけたらと思っている。




最近インタビューズはじめました。

例えばこんな質問がきました。
影響を受けた本があれば、3冊ほど教えてください。

・芥川龍之介「或る阿呆の一生・珠儒の言葉」
嶋内佐絵の約半分は龍さんでできています。

・鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二「戦争が遺したもの」
日本語読める人だったら絶対享受すべき、リベラルで善良な知性。何十回も読みました。

・モフセン・マフマルバフ「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」
できる限り当事者でいたいと思うから。

漫画だったら、
・松本大洋「鉄コン筋クリート」
ないところのネジをもちあう共存フェチだから。

ザ・インタビューズ saereal



マシュマロの木とウッドストック

今週末から早稲田に引っ越します。大学から徒歩3分。夜中の徘徊もたくさんするつもりです。
きっと主食はうどん。
| | 02:27 | comments(0) | - |
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