CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< September 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
<< 第9地区+1Q84 | main | to U >>
大正文学と人

このほかにもいろいろ出ている文豪ナビ。
芥川龍之介のキャッチコピーは、
「カリスマシェフは、短編料理でショーブする」
まあこの本の中で島内景二(奇しくも同じ名前!)が言っている、
「全盛期の」芥川の代表作は、藪の中とか羅生門、鼻みたいに全部短編小説だから仕方ない。

ほかの人の本を見ると
三島由紀夫「時代が後から追いかけた。そうだ!早すぎたんだ」
夏目漱石「先生ったら、超 のロマンチストなのね」
谷崎潤一郎「妖しい心を呼びさます、アブナイ愛の魔術師」
とか、なかなかしゃれたキャッチコピーが付いている。

私が好きな芥川の短編は、断然「蜘蛛の糸」と「蜜柑」。
蜘蛛の糸を初めに知ったのは日本むかしばなしだった。
蜘蛛の糸、なんてなんてロマンチックなタイトルかと思ったのを覚えている。
蜜柑は、主人公が持ってる美意識とか、一瞬ですべてを許せてしまう感覚とか、そういうのにすごく同感した。

もちろん他の作品も、小説としてすごく完成度の高いものだと思うし、
言葉づかいなんて真似できないくらい良く練りあげられていると思う。
でも「藪の中」は、時代的背景もあるだろうけれど、
女に対する差別意識が透けて見えてしまって、「鼻」は教訓じみているので、芥川作品の中では苦手。




好きな作家っていうのはその人の人生観や性格がでると思う。
とくに明治、大正時代の作家なんか。

私は自分が芥川を好きだけど、芥川をましてや末期の作品を好きなんて言う人がいたら
いい友達にはなれるけど付き合ったりはできないと思う。
末期の芥川作品に共感する人なんて面倒くさくてしょうがない。
もし相手が志賀直哉とか武者小路実篤とか高村光太郎が一番好き、
なんて言われた日には友達になれるかさえ疑わしい。
(私は志賀直哉には本当に劣等感に近いほどの苦手意識を抱いている)
室生犀星とか有島武郎を好きな人とかはいいと思う。谷崎潤一郎ファンとか。山本周五郎とか。
この辺を好きな人は、根本的なところで優しくて、人を大事にする人のような気がして信頼できる。
一方で太宰治とか三島由紀夫が好きって言われたら、この人はきっと、自分が一番なんだろうなあ、と思う。
でもこの二人を好きなタイプの人はほおっておけない。
太宰ファンとか三島ファンって、生まれついての俺おれ主義だとは思えないから、
なぜそういう人たちに共感しているのかをひも解くと、実は自分の弱いところの裏返しだったり、
だめな部分への共感だったりするから、一概に嫌いになれない。
(でも付き合ったらすごく面倒くさいし、苦労する。)



芥川を好きになったきっかけは、彼が久米正雄に書いた遺書がきっかけだった。
死ぬ前なのに、なんて美しい文章を書く人なんだろう、っていうのと、
死ぬ前なのに、このひとは最後までかっこつけずにはいられなかったんだな。って思ったこと。
後は「珠儒の言葉」にはまって、全集で彼の書いた手紙類を見ていた。
手紙が本当に素晴らしいんだ。本当にピュアで、この人は孤高の人なんかじゃ全然なくて、
かっこつけだけど本当はものすごいさびしい人なんだと思った。

こんなに成功した人が、なんで自殺しなきゃいけなかったのは最初のころはわからなかったけど、
自殺するタイプの人っていうのは、世間から見たらどんなに成功していても、どこまで行っても、
本人にとっては自分を責めなくてもいい状態、なんて存在しないんだろうと思う。
死んだほうがましだ、と思ったのは、ひっぱってくれる他人の手よりも、
奈落の底へ落ちるように、後ろからぽん、って押される回数がたまたま多かっただけ。



最近マイフレンドフォーエバー的だったのは、この1カ月くらいでいろんなことが変わったとき、
周りにいたみんながちょっとずつ手を差し伸べてくれた。
意識的にでも、無意識的にでも、
落ちていく私の服のすそをちょっとつまんで引っ張るくらいでも、
色んな人がきっかけになってちょっとずつ上昇してると思う。

それで、ときどき、すごく大きな手を見ることもある。
でもそれは、本当に私が掴もうと思って手を伸ばしたら引っ込めてしまうかも。
大きな手、って思うのは私の観ている幻想で、本当は蜘蛛の糸みたいな存在なのかも。
だから何度も見送ってきている。
それはあまりにも美しすぎる万能薬だ。

↓これが私の一番好きなもの!
今年の夏の誕生日には、マイ全集を買おう。

| | 01:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://saereal.saereal.net/trackback/1505168
トラックバック